ADR調停・面会交流を支援する一般社団法人びじっとの古市さんが「ひとり親の方に捨ててほしい」と願うものとは

ADR調停・面会交流を支援する一般社団法人びじっとの古市さんが「ひとり親の方に捨ててほしい」と願うものとは

離婚を考えています..

面会交流の不安を誰かに聞いてほしい.

という方へ、このインタビュー記事をお届けします。

インタビューさせていただいたのは、調停・面会交流の支援をされている一般社団法人びじっとの古市さん。

子どもの健やかな成長のために、離婚をするお父さんお母さんの子育て支援として面会交流をサポートされています。

「幸せな子」を育てるのではなく、どんな境遇におかれても「幸せになれる子」を育てたい、という古市さんに

  • 調停・面会交流支援の詳細
  • ひとり親の子どもに見られる特徴
  • 子どもの成長における面会交流の役割

についてお伺いしました。

目次

葛藤を抱える親の話に傾聴するため、出家の道へ

− ReRe

びじっとさんについてや、古市さんの自己紹介をお願いします。

− 古市さん

一般社団法人びじっと・離婚と子ども問題支援センターの代表理事を務めております。
本職は日蓮宗のお坊さんで、千葉県にある大法寺というお寺の副住職をしています。

びじっとの支援の種類では、まず連絡調整型があります。
LINEを使っていて、お父さんとびじっとのスタッフが入るグループ、お母さんとびじっとのスタッフが入るグループに分かれており、スタッフが日程調整をしています。

受渡し型というのもあり、同居親と待ち合わせ場所を設定し、そのあと別居親のところへお子さんを連れていく流れです。

付添い型では、別居親が面会交流している間は、スタッフがずっと付き添います。
Zoomを利用したオンライン型もあります。

あと、「子どもの写真を送ってほしい」とか、運動会・学芸会の情報伝達など、情報連絡の支援も行っています。

無料の見守り支援というのもあり、両親が自分たちでやり取りするけれど、冷静なやり取りを保てるよう、そのLINEグループに第三者としてびじっとが入ります。
びじっとは一切何もしないのですが、「第三者が入っている」というだけで感情的になることを抑制し、面会日程について事務的に会話が成り立つ、ということで行っています。

ほかには、非利用者向けの相談・利用者向けの傾聴や、「ADRくりあ」という面会交流の計画策定・合意調整があります。

びじっと面会交流の支援(連絡調整型)
びじっと面会交流の支援(受渡し型)
びじっと面会交流の支援(付添い型)
びじっと面会交流の支援(付添いオンライン型)

− ReRe

ありがとうございます。
離婚から面会交流の実施に至るまで、すべてのステップをワンストップ型で支援されているんですね。

− 古市さん

そうですね。
『子どものための紛争解決ADRくりあ』というADRを持っており、専属の弁護士・調停人であるスタッフが間に入って、「子どものためにどうしていけばいいか?」ということを裁判所と同じように話し合うことができます。

※ADR

裁判外紛争解決手続。公正中立な第三者が仲裁に入り、当事者同士の話し合いを支援し、合意による紛争解決を図るもの。

− ReRe

ADRでの話し合いにおいて、最初は両親とも大きな葛藤を抱えている状態かと思いますが、どのようになだめ、落ち着いた状態へと導かれているんでしょうか?

− 古市さん

傾聴することが一番大切だと思っています。

お父さんもお母さんも、心に傷を負って来られるんです。
別居親は「子どもを連れ去られて自分は被害者だ」という一方、同居親からすれば「連れ去らなければならないくらい話にならず、モラハラを受けたので、私が被害者だ」と。

ご両親ともに傷ついて、心がいっぱいいっぱいなので、相手の話を聴く余裕がない。
これを建設的な会話に成り立たせるにはどうしたらいいか?といえば、ただただ、お話をきかせていただく。

心にわだかまっているものを吐き出しているうちに、お父さんもお母さんもご自分の内面を整理されて、自然と親の顔となり、面会交流に前向きな姿勢へと変わっていかれます。

びじっとを立ち上げた初期のころは私が一人で、葛藤に苦しむ父母の対応をしていましたが、面会交流で生じている苦しみは、仏教でいうところの「四苦八苦」にほかならないと思い、僧侶となって皆さまの人生に寄り添うために出家いたしました。
幸い、寺に生まれ、仏飯をいただいて育ちましたので。

びじっとが10周年を迎えた2017年に永続性を担保するために組織化を宣言し、後進に全てを託して私自身は支援業務から身を引きました。
それから5年。設立15周年を迎えた今年、びじっとは法人組織として、私の手から巣立ち、自立運営できるまでに成長しております。

− ReRe

素晴らしいですね。
相談者の方も安心して不安・悩みを吐き出せる団体となられているんですね。

≫ びじっとさんへの面会交流の相談はこちら
   

子どもは親の行動をモデルとし、人とのコミュニケーションを学んでいく

− ReRe

お互いが「自分の言っていることが正しい。相手が間違っている」と主張する意見を、どのようにすり合わせていくのでしょうか?

− 古市さん

すり合わせるというより、苦しみを生み出す根源となる問題を引っこ抜いて楽を与えるべく、「面会交流をしない」という選択もあることを提案いたします。

− ReRe

本当に面会交流をやめてしまう方もいるんじゃないんでしょうか?

− 古市さん

それが、おやめにならないのですよ。
なぜ、嫌なのに面会交流をするのかと問うと「調停員に言われたから」「元夫がやれって言うから」「恐くて拒否できないから」って仰られるんです。

− ReRe

そういった面会交流に消極的だった方が、実際に面会交流をはじめてみて、前向きな態度に変わるケースはあるのでしょうか?

− 古市さん

びじっとは、ご両親のどちらとも何の利害関係もない、第三者機関になります。

第三者機関を利用するのは、ご両親にとってメリットがあるからです。
一番大きなメリットとしては、第三者の目があるという点でしょうか。

自分たちの立ち居振る舞いが、親として子どもに恥じない姿であるか。それを見てほしいという希望を持たれている親御さんは多いです。
また、びじっとを母体とする裁判外紛争解決サポート「ADRくりあ」では、支援スタッフと調停人が情報共有をしているので、建設的な話し合いができるというのもあります。

自分たちがご両親の姿を見て育ってきたように、自分の子どもたちも、両親である自分たちの姿を見て育つのだということを親御さんたちが理解されていくことは、とても大切なことであると私は思っています。

− ReRe

仰るとおりですね。
面会交流における否定的な態度・元配偶者への不平不満の言動も、すべて子どもの性格・アイデンティティの形成につながっていくんですね。

− 古市さん

親だって大人とはいえ人間なので、いつでも100%正しくふるまえるわけではありません。
大切な我が子に思うように会えない苦しさや、元配偶者と関わらなければならないつらさを長い間抱えてしまう方もいらっしゃいます。

葛藤が高くなり、つい感情的な態度をとってしまうシーンもある。
そういうときは、スタッフから「お子さんはいつもお父さんお母さんを、大人のモデルとして見ていますよ」と伝えるようにしています。

すると、お父さんとお母さんの気持ちが「葛藤から抜けられない当事者」から、「子どもの前にいる親」に切り替わります。
「子どものモデルとなるふるまいを期待してます」と伝えることにより、自分を客観的に冷静に見られるようになるんです。

びじっとでは、相手を「離婚した元配偶者」として見るのではなく、目線を「子どもの親」へと落とせるようなサポートをしています。

− ReRe

子どものためを考えた、スタッフさんの本当に素晴らしい行動だと思います。

− 古市さん

ただ、「子どものために親として頑張る」、「本心では嫌だけど、子どもの健全な成長のために面会交流をする」というのも、やはりどこかで心に歪が生じてしまうのではないかと危惧いたします。

「何かしらの所為」で「面会交流をやらされている」という想いに苛まれながら、面会交流を継続させていくのって、その方にとっては苦しみでしかない。
それは、支援する側としても、とても辛くなります。

ですので、面会交流を継続していくことが、ご自身の幸いのためでもあるのだと実感していただけるように支援をしていく。それが私の望む「支援」だと思います。
スタッフの皆さんは大変でしょうけど(笑)

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相手を「子どもの親」として認められるようになるための支援

− ReRe

びじっとさんは、面会交流の重要性をどのように考えられていますか?

− 古市さん

離婚という、あいまいな喪失ケア」を軸に支援活動を行っています。

親子の離別とは、どちらにとっても、存在があいまいになります。
生きてはいる。けれども存在がない。この「あいまい」さが、心理的な喪失と身体的な喪失の両方を親子に与えています。

面会交流の支援は、あいまいな喪失ケアのグリーフワークであると私は考えています。

子どもの視点で想像してみましょう。
ふたりの親が存在するのが当たり前だったのに、ある日、突然、片方の親との別れとなり、片親のいない環境に適応して、新しい心理的・人間的・社会関係を子どもは作っていかなければなりません。

離別と向き合い、受け入れて新しい生活になれていくまでの心理的過程を「喪の作業」と呼びます。
この「喪の作業」を支援していくのが、面会交流支援というグリーフワークです。

あいまいな喪失感を抱く子どもへ「お父さんはいるよ。別で暮らしてるけど、あなたのお父さんであることは変わりないし、常に関わり続けるよ」ということを、面会交流で示してあげる必要があります。
そうすることで、あいまいな喪失感が補われて、子どもはレジリエンス(回復力)を身につけ、精神的な核・土台を築くことができます。

− ReRe

子どもが喪失感を補い、グリーフ(深い悲しみ)に向き合う歩みを止めないためにも、面会交流が大切であるということですよね。

− 古市さん

そうです。
一方の親と日常接することができない悲しみ・怒りといった感情を、グリーフワークによって、グリーフケアをしていく必要があります。

子どもたちは希望ある未来です。
これから成長し、社会に巣立つ子どもたちが築く社会が、よりよいものとなるように願いながら、私たちは日々、子どもたちと向き合っていかなければならないでしょう。

− ReRe

大事なことですね。
面会交流を検討していない方も「子どものため」と思うなら、面会交流について、びじっとさんのサポートを受けながらの実施を考えてみてほしいなと思います。

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独りで抱え込んでいるのなら、苦しみ・嘆き・悲しみ・理不尽な思いを聞かせてほしい

− ReRe

面会交流を支援する中で、大切にされていることは何でしょうか?

− 古市さん

面会交流支援は社会福祉、と考えることが重要だと思っています。
親と子ども、それぞれの人生に伴走していることを忘れず、支援するよう努めています。その人たちがつまづいたとき、SOSを出せるようなサポートですね。

また、利用者との信頼関係を築くことがとても重要で、今後は利用者の自助グループの定期的な開催を予定しています。
自助グループのほかに、勉強会・オープンイベントの定期開催や、支援卒業者のスタッフ採用、結婚・産褥期・離婚について学べる結婚相談所にも力を入れていきたいと考えています。

そして、先ほどお伝えした「あいまいな喪失」ケアです。

法務省が子どもたち1,000人に「父母の離婚・別居を経験したあと、生活において経験したこと」を聞いたアンケートで、「精神的に強くなった」「自立心・独立心が強くなった」「人付き合いがうまくなった」「困難なことがあっても挫けなくなった」という回答がありました。

これって、良いことのように思いますよね?

− ReRe

良い面もあるように感じますね。

− 古市さん

ですよね。

だけど、これは達観した、大人びた様子に思えて、実はあきらめの表れだとしたらいかがでしょう? 
「自分がなにをやっても、親は別れて出ていっちゃう..」「どうせなにを言っても親は暴言・暴力をやめないので、自分は無力だ..」という感情からの達観性もあるんです。

本来は、あきらめゆえの達観ではなく、信頼できる人に年相応に甘えられることが大切になります
子どもは、年相応に甘えられたことで「精神的に強くなれたな」「人付き合いがうまくできるようになった」と思える。これこそ、リカバリーなんです。

私たちは「幸せな子」を育てるのではなく、どんな境遇におかれても「幸せになれる子」を育てたいんです。
これは、上皇后陛下(美智子様)が仰られたお言葉です。

びじっとの理念は「10年先の未来を見据えて今を支援する」です。

今びじっとに来ている子どもたちが、いずれびじっとのスタッフになるかもしれない。
そして、結婚し、離婚するかもしれない。

そのときにヘルプが出せて、その子どもをびじっとが支援することができる。
そういった良い流れ、社会のサイクルを目指しています。

びじっとさんが目指す10年後の未来

− ReRe

ありがとうございます。
本当に本質的な活動をされており、びじっとさんの活動がより広がっていってほしいなと増々感じました。

最後になりましたが、読者の方へお伝えしたいことはありますでしょうか?

− 古市さん

ひとり親の方って、「自分でなんとかしなきゃいけない..」「誰かに頼ったら、自分でなんとかしろって怒られそう..」という気持ちが強いことがあります。
確かに、それは自分の問題なんですけど、当事者だけではなんともできないことって世の中には山のようにあるんですよ。

自己責任っていうのは簡単だけど、結局辛い思いを抱え込んでいるんであれば、第三者に相談して、苦しみ・嘆き・悲しみ・理不尽な思いを聞かせてください。

困ったときに人に頼ることが本当の人の強さで、今困難をかかえているお父さんお母さんほど相談して欲しい。
そういう姿勢を子どもに見せることで、子ども自身も「困ったらお父さんお母さんに相談して良いんだ」「自分は誰かに支えられているんだ」と感じることができます。

あなたが自立できるようになることを、伴走しながら支援します。

第三者を信頼して頼ることも自立へ向かう第一歩なので、ぜひヘルプを出してほしいと思います

− ReRe

面会交流に悩む方は、びじっとさんへぜひ頼ってみてほしいなと思います。

本日は貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。

≫ びじっとさんへの面会交流の相談はこちら

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