家賃が高くて、毎日の生活が苦しい..
子どもを養っていけるか、将来が不安..
という方へ、このインタビュー記事をお届けします。
インタビューさせていただいたのは、群馬県上野村役場 振興課の小須田さん。
上野村では、定住・移住希望者を支援するため、さまざまな手厚い支援制度が用意されています。
しかも、ただ支援制度があるだけでなく、住居・就職においても親身にサポートしてもらえるなど、ひとり親の方が不安なく暮らせる環境が整備されています。
「気軽に相談してみて、合う・合わないを決めてほしい」という小須田さんに
- 上野村の魅力、子育てのしやすさ
- 移住に関する支援制度
- 移住された方のお声・感想
についてお伺いしました。
都心から車で2〜3時間ながら、面積の95%を森林が占める自然の魅力あふれる村
− ReRe
上野村の特徴、魅力を教えていただけますか?
− 小須田さん
人口が1,100人を切っている、群馬県で一番小さな自治体になります。
自然が魅力の一つで、村の面積の95%を森林が占めています。
その中でも広葉樹が多いので、秋は紅葉、春は新緑と、四季の移り変わりを体感できる地域になっています。
村の中心部を神流川(かんながわ)が流れていて、村内にある神流川源流は環境省が定める『平成の名水100選』に選ばれています。
森林セラピーや、全国最大規模の歩行者が歩ける吊橋、関東最大規模の鍾乳洞(しょうにゅうどう)があったりと、自然を活かした観光業が盛んな地域です。
− ReRe
ありがとうございます。
場所は、群馬県の一番下あたりですよね?
− 小須田さん
はい、群馬県の最西南端にありますね。
埼玉県と長野県に隣接していて、埼玉県の秩父市・長野県の軽井沢町を一直線に結んだときの、ちょうど真ん中あたりです。
− ReRe
東京から車だと、2〜3時間くらいでしょうか?
− 小須田さん
そうですね。
高速道路で関越道→上信越道→下仁田ICを降り、下道40分ほどで着きます。
− ReRe
移住支援に取り組まれている自治体さんの中でも、都心からはかなりアクセスしやすいですね。
− 小須田さん
車だと、アクセスしやすいですね。
ただ、公共交通は本数が少ないので、車がない方だと来るのは手間になるかなとは思います。
− ReRe
移住後の生活も含め、やはり車は必須でしょうか?
− 小須田さん
村内の移動手段もほとんど車になり、村内で買えないものも出てくるので近隣の市町村に行く必要があったりと、車は必須にはなりますね。
− ReRe
近くの大きな街でいうと、どんな街がありますか?
− 小須田さん
富岡市・藤岡市ですね。両方とも、車で1時間ほどで着きます。
あと、長野県のほうに出かけられる方もいますね。
− ReRe
スーパーマーケットなど、日常的な買い物をする場所も村外にあるのでしょうか?
− 小須田さん
個人商店や農協が運営するスーパー、道の駅もあるので、肉・魚・野菜や日用品などは村内で買うことができます。
ただ、村外でないと手に入らない物もあるので、皆さん週末に車で出かけてまとめ買いされていますね。
きめ細やかな学校教育を受けられ、子どもだけで共同生活する山村留学も!
− ReRe
子育てにおいては、どんな魅力がありますか?
− 小須田さん
川が近いので、夏は川遊びができたり、山も近いので山歩き・山遊びもできます。
教育の面では、子どもの数も少ないので、先生の目がいき届きやすく、きめ細やかな教育を受けられるところも特徴的です。
小学校全体で50名ほど、中学校も20名ほどなので、小規模学校ならではの良さがあると思います。
小学校の場合、学童保育も実施していて、夏休みには川遊び・山の散策などの活動もしています。
− ReRe
「学校で自分の子どもが手厚く見てもらえる」というのは、どんな親にとっても魅力的なポイントだと思います。
また、川遊び・山遊びによって自然に触れる機会がたくさんある点も、子どもの心身の成長に大きく貢献しそうですね。
− 小須田さん
あと、上野村では、30年ほど前から山村留学も行っています。
群馬県内でもあまり実施されてないのですが、子どもが村の中で共同生活をして「自分で生きる力」を養ったり、成長することができます。
親元を離れて子どもが上野村に来て、小規模学校の中で義務教育を受けながら、『かじかの里学園』という施設で食事・寝泊まりなど、共同生活をするイメージです。
休みの日はキャンプなど、自然体験を中心にイベントを行っています。
− ReRe
ほかではあまり聞かない、貴重な留学体験ですね。
対象は何歳から何歳まででしょうか?
− 小須田さん
小学校3年生〜中学2年生ですね。
− ReRe
かなり幅広いんですね。
留学期間はどれくらいですか?
− 小須田さん
4月〜3月の1年間ですね。
年間を過ごして、希望があれば2年目として継続される方もいます。
また、山村留学をきっかけに親御さんも「上野村に住みたい」と移住されるケースも、最近では増えてきていますね。
− ReRe
子どもだけ、かつ年齢・育った環境も違う子どもと一緒に暮らしていく体験は、社会性を育み、成長において大きな役割を果たしそうですね。
子どもさんからは、どういった感想がありますか?
− 小須田さん
「都会では経験できない自然の遊びができて良かった」とか。
ところ天を一から作るイベントをしたとき、「スーパーで売ってるものじゃなく、自分が原料から作る体験を初めてできたので、とても良かった」という声も聞きましたね。
− ReRe
自分が普段食べているものがどういった材料からできているかって、日常生活で知る機会はないので、子どもにとっては本当に貴重な体験になりますね。
手厚い移住支援(子どもの医療費無料・給食費無料・条件付きで返済免除になる奨学金 など)
− ReRe
移住支援について、取り組まれていることを教えていただけますか?
− 小須田さん
上野村は山間地ということもあって不動産屋の介入がないので、移住者の住む場所を支援するため、村営の住宅をご用意しています。
入居を希望する方が入りやすいよう、所得に合わせて家賃を変動させ、住みやすい環境づくりをしています。
- 一戸建て住宅 :12,000円~
- 共同住宅 1DKタイプ: 7,000円~
- 共同住宅 2DKタイプ:11,000円~
- 共同住宅 3DKタイプ:12,000円~
※家賃は入居者の所得額により異なります(詳細はこちら)
住む場所が決まったら、就職も村が主体的にサポートしています。
例えば、村直営だった事業を株式会社として独立させ、そこに就職してもらうことで雇用を作ったりしています。
就職は、上野村だと観光業がメインになるのですが、ほかには県内でも生産量が多いきのこ・しいたけの栽培会社であったり、介護・福祉施設もご紹介しています。
ただ、お仕事の紹介はしていますが、必ず就職できるというわけではありません。その点は、ご承知おきください。
子育てに関する支援制度としては、0〜18歳までの子どもの医療費が無料です。
そのほか、保育園・小中学校において、給食費が無料ですね。
あと、独自の奨学金制度として、奨学金を借りて高校・大学を卒業されたあと村に戻って1年以上就業された場合、返済が免除になります。
返済開始日が卒業後1年を経過した年の翌月からだったり、無利子だったりと、一般的な奨学金より負担は軽減されているかなと思います。
− ReRe
支援制度の数が多いのもそうですが、本当にきめ細やかなサポートをされているなと感じます。
ただ「支援金を提供します」というだけでなく、住居・就職のサポートがあったりと、移住者の方が不安なく生活できる環境が整備されていて、素晴らしいなと思います。
きのこ・しいたけ栽培会社への就職では、農業経験がない方も就けるのでしょうか?
− 小須田さん
そうですね、実際に農業経験がなかった方が、だんだんと経験を積みながら活躍されているケースはあります。
− ReRe
経験の有無を心配しなくていいというのは、移住者の方には安心ですね。
あと、HPを拝見させていただくと、がんばる子育て応援手当などの少子化対策に関する支援制度もありますよね?
− 小須田さん
はい、子どもが3人以上いらっしゃる家庭が対象にはなりますが、手当を支給しています。
- がんばる子育て応援特別手当:対象児童1名に対して月あたり5万円を支給(第3子目以降が対象、所得制限有り)
- がんばる子育て応援手当:対象児童1名に対して月あたり1万円を支給(第3子目以降が対象)
− ReRe
対象範囲は限られていますが、3人目の子どもがいるひとり親の方にとっては、とても心強い支援制度ですね。
移住者の声「地域の方が優しく声をかけてくれて、安心して生活できる」
− ReRe
人口のうち、移住者が20%を占めるということでしたが、移住されてくるのはどれくらいの年代が多いでしょうか?
− 小須田さん
上野村は単身者の方が多いので、20〜40代が多いですね。
− ReRe
若い方が多いんですね。
− 小須田さん
就職の関係で移住される方も多いので。
家族で移住される方も、30〜40代の方が多いですね。
− ReRe
移住を考えているひとり親の方にとって、自分と同じ年代の方が多く住んでいるというのは、安心材料になるかなと思います。
− 小須田さん
あと、保育所には1歳半から子どもを預けられるのですが、1歳未満の小さな未就学児がいる家庭向けに、育児サークルもあります。
週1回活動していて、周囲との関係性を築けたり、いろんなことを聞けたり、つながりを作ることができるかなと思いますね。
子ども同士で遊ばせたり、クリスマス・ハロウィンなどにはイベントもしています。
− ReRe
1歳未満の子ども・赤ちゃんをもつシングルマザーの方は多いですが、同じような境遇の人としっかりコミュニケーションをとれる場があるのは心強いですね。
実際に移住された方のお声・ご感想についても、お教えいただけますか?
− 小須田さん
はい、移住者の方のお声をご紹介します。
移住前は、上野村での生活が楽しみでしたが、不安もありました。実際に上野村での生活が始まると、不安はなくなりました。地域の方が優しく気軽に声をかけてもらえたので、安心して生活しています。
生活する中で、困ったことがあり、近所の方に相談すると、「誰々に相談すれば、解決するよ」など、生活の手助けもしてもらっています。
地域のお祭りや道路掃除など地域の活動もあり、参加したときに感じたのは、人と人のつながりの強さでした。地域みんなで支え合いながら生活をしている印象です。
自然に囲まれ、おいしい空気を吸って伸び伸びと生活しています。
− ReRe
「地域みんなで支え合いながら生活している」
村の中で、人と人とのつながりがしっかりと築かれていることを表すお言葉ですね。
地域コミュニティ内で助けを得られるというのは、移住される方にとって、とても大きな安心材料になると思います。
「上野村では難しい」という場合でも違う地域を紹介したり、スタートの一歩を踏み出す手助けをしたい
− ReRe
最後になりましたが、移住支援に対する想いをお聞かせいただけますか?
− 小須田さん
移住というのは、生活の環境もガラッと変わったり、思っていた以上に決心がいることです。
自分も移住の相談を受けたり、実際に移住された方・移住が叶わなかった方の話を聞いてきましたが、やはり最後はご自身が「ここで生活したい」「この環境で子どもを育てたい」と思えるかどうかがポイントになります。
支援・サポートの用意は市町村のほうでできますが、そこからは地域の方の協力を得たり、ご自身の家族・友人と相談しながら進めていくのが一番良いと感じています。
なので、上野村に興味があったり、移住について悩んでいることがあれば、気軽にご相談いただければと思います。
− ReRe
そうですよね。
「気軽に一度相談してみて、合う・合わないを決める」くらいの心持ちでいいのかなと思います。
− 小須田さん
相談していただいて「この場所では難しい」となった場合でも、違う地域につないだり、ご紹介することもできます。
こちらから一方的に「どうですか?」と推すことはしませんので、気軽にお話してもらえれば、ご本人の気持ちを大事にしながら、スタートの一歩を踏み出す手助けをしたいと思います。
− ReRe
押し付けではなく、合う・合わないを相談しながら決めていける。
そんな受け答えをしてもらえるのは、ひとり親の方にとって非常に安心できるポイントかなと思います。
本日は貴重なお話をたくさんお聞かせいただき、ありがとうございました。