子連れ再婚したいけど、子供の気持ちが心配..
ステップファミリーですが、悩みがあります..
という方へ、このインタビュー記事をお届けします。
インタビューさせていただいたのは、親子カフェkotocafe(コトカフェ)を運営している株式会社en famille(アンファミーユ)の代表、藤本玄太さん。
藤本さんは当時シングルマザーであった奥様とご結婚され、ステップファミリー歴12年。結婚から現在まで「大変なことはなかった」とのこと。
経営者としても、1人の親としても「人の幸せに貢献したい」という熱い思いがあふれる藤本さんに
- 子連れ再婚で大切なこと
- ステップファミリーがうまくいくための考え方
についてお伺いしました。
親子カフェを通じ、シングルマザーにお金の知識・コミュニティを提供
− ReRe
藤本さんの経歴、経営されている会社について教えてください。
− 藤本さん
2つの会社を経営しています。
1つは 株式会社en famille(アンファミーユ)という、フランス語で「家族で」という意味なんですけど、親子のコミュニティを軸に仕事をしていくものになっています。
メインは、東京都府中市の府中駅前にある親子カフェ kotocafe(コトカフェ)の経営です。
kotocafe(コトカフェ)は2013年にオープンし、現在9年目。
カフェとしての営業時間は基本2時間で、それ以外をレンタルスペースということで、午前は親子向けのイベント・午後は小中高生の習い事の場として活用しています。
今年度は府中市から地域課題解決プラットフォームの運営を受託し、運営をしています。
もう一つは株式会社亜土未来(アドミライ)という会社で、21年11月30日に設立しました。
金融知識をあげ、老後のお金の不安をなくす選択肢をいくつか伝えております。
保険会社から勧められた保険の積立で、毎月5万円を海外の運用会社に投資していました。
「貯金より増えるし良いな」と思っていたのですが、10年経ってフタを開けたら「思ったより貯まってない」ということがありました。保険会社の取り分が多く、効果が悪かったのが原因でした。
この経験より「貯蓄と保障を分ける」ことが大切なことが分かります。
世界中で行われている積立投資や資産形成、資産保全の仕組みを深く学ぶことで、日本のFPさんやお金のプロの知識が偏っていることにも気がつきました。
この経験より、海外の信託会社と直接契約し、「世の中にはこんな商品・仕組みがあるんだよ」ということを伝え、「知らずにできない」という人をなくしたい思いで活動しています。
これが、シングルマザーさんにはすごく喜ばれています。
− ReRe
親子カフェでは「シンママ会もある」とお伺いしていたのですが、金融の知識以外に、何かシングルマザーの方に提供されているものはありますか?
− 藤本さん
金融の話は全体にしていて、特にシングルマザーに特化しているわけではありません。
逆にシングルマザーに特化しているのは、飲み会・コミュニティです。
「お友だちをつくろうよ」ということで、宴会メニューの半額でシンママ会をやっています。
赤字なんですけど、「シングルマザーさんが集まって仲良くなれる、コミュニティがもてる」というところに意義を感じてやっています。
そのコミュニティを使って売上を出そうともしていません。
飲み会のほかには、悩み相談もあります。
悩みに合わせて相談員とつないだり、シングルマザーさんの日程を優先的に合わせて相談会を開いたりもしています。
同じ境遇の方同士が自然と出会え、自然と情報交換ができる環境づくりを大切にしています。
− ReRe
素晴らしいですね。
≫ 藤本さんが経営する、親子カフェ kotocafe(コトカフェ)はこちらから
きっかけはお母さんへの尊敬と「大変でしょ」という思い
− ReRe
シンママ会を開催したきっかけは、何だったんでしょうか?
− 藤本さん
まず、親子カフェをつくった理由が「お母さんに対する尊敬」でした。
僕は保育士を10年やっていて、よくお母さんに「先生、子供を30人も見て尊敬するわ」と言われていたのですが、全くそうではなく、一番すごいのはお母さんなんですよ。
保育園にいる子供は、猫をかぶっているんですよ。
わがままを言えないんです。
子供が30人・先生が1人だと、泣いてもずっと抱っこできないじゃないですか。
子供は適応能力があるので、それをわかっているんです。
お母さんが保育園に預けるとき、子供は「行かないで」と泣きます。
けど、子供はその後ケロッとして保育園に入っていくんですよ。
一方、お母さんは「今朝泣いてたな」と思って頑張って仕事を早く終え、迎えに来ます。
すると、子供は「遅いほうが良かった。もっと遊びたい!」って言うんですよ。
そんな状態の子供を引っ張って、帰りに買い物をして、ご飯作って、お風呂に入れて..
お母さんが一番大変で、報われないんです。
共働き・シングルの方を含め、ママさんの悩みを解決したいと思っています。
シングルマザーさんでいうと、特に多い悩みが「孤立」です。
共働きの家庭より、生活における時間配分に余裕がないと、お母さん自身が不幸になるし、子供も不幸になります。
不幸は、虐待にもつながりかねません。真面目な人ほど、「悩む」から「虐待」のほうに向いてしまうんです。
だからこそ、僕は親子のために店を開きました。
もともとは、待機児童のためにやっていたんです。
待機児童と母親というのは、働く意欲はあるけど働けないわけじゃないですか。
どうしようもないブレーキがかかった状態で家にいて、公園に行くけれどずっとはキツい。
そうすると、ストレス・孤独も加速していくので、じゃあ「お友だちが作れる場があったほうがいいよね」ということで始めました。
「お友だちが作れてランチができる」「親子向けのイベントで友だちができる」という場を提供していて、シンママ会もそのうちの1つです。
− ReRe
ママさんへのリスペクトから立ち上げられたんですね。
− 藤本さん
リスペクトもあるし、大変でしょと。
社会課題の解決の糸口を作りたいと思っています。
僕たちは「笑顔のきっかけづくり」と言ってるのですが、それが根本にあります。
− ReRe
素晴らしい取り組みですね。
≫ 藤本さんが経営する、親子カフェ kotocafe(コトカフェ)はこちらから
「まず知ること」を大切にした、資産形成のセミナーも実施
− ReRe
株式会社亜土未来(アドミライ)に関して、質問させてください。
経済的にゆとりがない方が多いシングルマザーに対し、金融資産を増やす重要性はわかっても、元手がなかったり、少ない場合もあると思います。
そんな状況では、どのようにお話をされていますか?
− 藤本さん
まず、セミナーに来てもらいます。
セミナーでは、何の勧誘もしません。日本経済と世界経済を知ってもらいます。
私たち日本人は世界平均以上に年収があるのに、海外の人たちのほうが豊かなんです。
それは文化が違うから。海外の人は投資・寄付の精神がすでに根付いており、親子代々みんな資産形成をしているんです。
その結果、海外の人のほうが豊かである、という事実に気づいてほしいです。
日本も戦前は郵便局の金利で「6〜7%」ありましたが、今は「0.00いくつ」という時代。
それが、世界の積立投資の平均だと「6〜7%」です。
知らない人は多く、日本だけでなく、世界のスタンダードについてお話しています。
そこでいろんな投資があることや、資産を増やしやすいポイントを伝えています。
基礎知識が身についた後、個別相談をするんですけど、自分で「老後いくらほしい」ということを決めてもらうんです。
例えば、老後に毎月20万円ほしいと決めたら、働かずに年金だけでは無理なので、不足分を積立投資でまかなうことをオススメしています。
自分で「老後いくら必要か」を決めるのがとても大事で、長い人生の中で「何にいくら必要か」が見えてくるんですよ。
そうすると、働き方・環境の作り方も整理されてきて、そこへ僕からできるサポートをしていきます。
シンママさんでいうと、手当を貯めている人が多いんですが、同じ貯金なら金利6〜7%の海外投資のほうが良いですよねと。
しかも、僕が勧めるのは世界一の運用会社「ブラックロック」などで、安心感もあり、平均金利も9%です。
子育ての18年間手当を預けておくと、それだけで資産形成は十分できてるんですよ。
子供のためにもなります。
また、ご家庭の状況から収入を増やすことが必要なご家庭には、私からお願いできるお仕事を発注することもあります。
在宅勤務、隙間時間でできるお仕事をお願いすることで、私も助かりますし、その収入から資産形成を始めることができるので良いですよね。
− ReRe
勉強になります。
資産形成に関する知識が、もっとシングルマザーさんにも広まればなと感じます。
「ステップファミリーで大変だったことはない」の理由
− ReRe
ステップファミリーの話題に移りたいと思いますが、藤本さんのご経験について教えてください。
− 藤本さん
(当時シングルマザーだった奥様とは)娘が2歳のときに出会いました。
保育園で出会っていて、僕が見ていた子供のお母さんだったんです。
僕は保育士養成校の講師もしており、その学校の前のコンビニで奥さんが働いていました。
昼ごはんを買いに行くときに「保育園でこんなことがありましたよ」と接点を持っていました。
「お母さん」という存在は全く恋愛対象ではなかったのですが、接点を持つうちに奥さんの魅力に惹かれていき、気づいたら結婚し、娘も高校生になっていた感じです笑
− ReRe
ある意味、奥様の「シングルマザーならではの魅力」に惹かれた感じでしょうか?
− 藤本さん
そうですね。
家庭的なところと、ちゃんと毎日子供のことを考え、子供のために行動しているところに「スゴイな」と思い、惚れたのかもしれないです。
− ReRe
まさに、シングルマザーさん特有の「家庭的さ」「責任感の強さ」ですね。
事前に「藤本さん自身には、ステップファミリーで大変なことはなかった」とお伺いしていましたが、何か秘訣はあったのでしょうか?
− 藤本さん
秘訣はないんですけど、そもそもの話として、僕は娘も好きなんですよ。
恋愛感情ではなく、人間として。
もし当時の奥さんに今の娘がいなかったら、付き合ってなかったと思います。
2人だから良くて、娘がいたことがプラスだったんです。
入籍したときも、奥さんと娘の両方に指輪を渡しました。
「3人で一緒になりたい」という思いがあったんで、秘訣もなにも、前提として大変じゃないんです。
− ReRe
「2人だからこそ好きになった」というのが、ある意味、秘訣なのかもしれませんね。
お子様ともずっと会っていて、両方の魅力を最初からわかっていた、というところが1つのキーポイントだったのではないかと感じます。
− 藤本さん
そうですね。
ステップファミリーになるまでの関係構築について
− ReRe
藤本さんとは異なるパターンについて、意見をお伺いさせてください。
あるシングルマザーさんに結婚を考えられる相手がいて、まだ子供とはそんなに会わせていない場合、どのような進め方が適切でしょうか?
− 藤本さん
子供が3歳以上であれば「自分にお父さんがいないんだ」という認識があり、家族の形が築かれていると思います。
家族の形があるかどうかで、大事なポイントが変わるかと。
子供が3歳未満でまだ家族の形ができてないのなら、母子家庭の生活スタイルを崩さずに男性が入れるかが大事です。
シングルマザーさんから男性に「生活の時間帯は壊さないようにしてね」と伝え、子供との接触頻度を増やしていけば良いと思います。
逆に、子供が3歳以上で家族の形ができている場合、子供を一番大事にしてほしいです。
お母さんには、子供との会話の中で「このタイミングなら交際相手がいることを言ってもいいかな」というのを判断してもらえると。
「結婚したい相手ができたから、すぐ言おう」ではなく、子供が理解できる・聞ける状況にあるかを考え、段階を踏んで話を進めてほしいです。
そうしたら、子供に「紹介したいんだけど、一緒にご飯でもどうかな?」と提案してみてください。
「急にご飯はイヤだ」と言われたら「何だったらいい?」って聞いて、「Zoomがいい」って言われたら「Zoomかよ笑」とか言って。
交際相手からもOKが出たら、最初は10分くらいのZoomから始めて「どうも!」「次は会いたいね!」みたいに会話をしていくと。
そして、子供に「次会ってくれる?」と聞いて「別にいいよ」とOKが出たら、実際に会ってみる。
そうやって、ゆる〜く子供本位に進めていったら良いんじゃないかなと思います。
− ReRe
子供を中心に慎重に進めていく方法に、とても共感します。
親権が片方のみ、だからこそできること
− ReRe
すでにステップファミリーの方で「継子が懐いてくれなくて、かわいいと思えない..」という悩みを持つ継親の方も、多くいらっしゃいます。
こういった状況でのアドバイスはありますか?
− 藤本さん
良いアイデアがあります。
実は、ステップファミリーには「逃げ道」があって、それをうまく活用するといいんですよ。
僕もよく使っていて、何かというと「親権が1人にしかないこと」なんです。(※養子縁組をしていない場合)
私は養子縁組をしていますが奥さんの考えを優先しています。
娘はおっとりした性格なのですが、娘が靴を履くのが遅かったときに、僕は「早く靴はいてよ」と言ってたんです。
保育士時代はそんなこと絶対に言わなかったのですが、一緒に住んでからは違っていました。そのことに、ふと気づいたんです。
それ以外にも「勉強しなよ」とか。
なぜ言ってたかというと、子供に幸せになってほしいからです。
しかし、それは大人の勝手な都合でもあることに気づきました。
逆に、奥さんは「娘のやりたいようにやらせてあげたい」という人で、勉強を強制することはしませんでした。
そこで、僕は「親権(決定権)は奥さんにあるんだから、奥さんに合わせよう」と思いました。
「幸せになってほしい」という気持ちは同じく持っているものの、子育てを決める権利は奥さんが持っているわけなので、割り切ったんです。
そして、僕はそのあと、娘が毎日1つでもいいから「幸せ」と思うことに気づいてもらえる取り組みをしました。
これが決定権があえて自分にはないと認識をする僕にできる、プラスな行動と考えています。
逆に、初婚同士で親権が2人にある家庭だと割り切れないですよ。
「親権が片方だからこそ割り切れる」という部分に、ステップファミリーの良さがあると考えています。
− ReRe
すごく参考になる考え方です。
「幸せ」と思うことに気づいてもらえるような取り組みとは、具体的にどんなことでしょうか?
− 藤本さん
小さいころは、毎日寝る前に絵本を読んでました。
あと、お風呂もずっと一緒に入っていて。
そういった時間では必ず、「今日は何が1番楽しかった?」とサラッと聞くんです。
そうすると、子供は1日を振り返って、楽しかった出来事を探すことになります。
これを毎日やると、1年間で365個も楽しかったことが生まれます。
その積み重ねが、娘が「幸せだな」と感じるきっかけになるんじゃないかと思っています。
習慣化するとめちゃくちゃ良い効果があって、家を見てもらいたいくらいです笑
− ReRe
おお.. ぜひ一度拝見させていただきたいです笑
ポジティブな時間を共有することは、ステップファミリーである堀ちえみさんがTVでよくアドバイスされていた「叱るのは実親から。褒めるのは継親から」に似ています。
継親と継子との関係性において、できるだけポジティブな時間を共有したほうがいいとは私たちも思っていて、その点藤本さんが実践された方法にはとても賛同できます。
− 藤本さん
そうですね。
それができるのが、ステップファミリーのメリットでもあると思います。
ありたい家族の姿を口に出して共有することが大切
− ReRe
今度は、実親の悩みについても質問させてください。
例えば、シングルマザーさんが再婚し、ステップファミリーになったけど「相手が子供を可愛がってくれない」「2人の仲が良くない」というケースがあります。
このようなケースでは、どう考えればいいでしょうか?
− 藤本さん
一つは、それに気づけたことがまず素晴らしいと思います。
もう一つは、「可愛がる必要があるのか」という点です。
最低ラインとして、危害がなければ、心理的安全があればいいんじゃないのと。
そもそも、子供が「もっと継親に可愛がってほしい」とは思ってない可能性もあります。
「今の距離感で十分」と思っているかもしれません。
− ReRe
現状をある意味「良し」として、大きく変えないほうがいいのでしょうか?
− 藤本さん
現状を「良し」とするのか、「変えたい」のかにもよります。
もし「変えたい」のであれば、夫婦で相談し合うことが大切です。
例えば、「朝は『おはよう』って言ってあげてほしい」→「確かに朝は『うぃーす』だけで、『おはよう』と言ったほうが雰囲気が明るくなるかもな」みたいな感じで。
小さい部分を変えていくだけでも、家族全体のハッピーにつながっていきます。
なので、まずは「良し」の形を話し合えばいいと思います。
今思えば、私たち夫婦は「良し」の形を都度話し合ってきたのが良かったんだと感じます。
いろんな物事に対し、お互いの価値観を共有してきたところが良かったなと。
− ReRe
「どうありたいか」を夫婦で口に出してコミュニケーションをとることが、やはり大切なんですね。
ステップファミリーに関して悩まれている方には、とても参考になるお話だと思います。
最後になりましたが、読者の方に向けて一言お願いします。
− 藤本さん
いろいろ話をしましたが、まずは自分が健康・幸せじゃないと家族も幸せにならないので、自分の時間・思いを大事にしてほしいと思います。
− ReRe
本日は貴重なお話をお伺いさせていただき、ありがとうございました。