
子どもの習い事や教育費どうしよう、今より収入を上げられたらな..
というシングルマザー・シングルファザーの方へ、インタビュー記事をお届けします。
今回お話を聞いたのは、全国11万人の在宅ワーク会員を有し、在宅ワークの教育訓練事業を推進する株式会社キャリア・マム代表の堤さんと、吉田さん。
東京都が主催するひとり親家庭就業推進事業「未来応援プログラム」では、安定した収入を得るためのスキルアップや就職支援をサポートしています。
令和7年度もプログラムを実施することになりましたので、詳しくお伺いしました。
また、令和6年度のプログラムを受講された青木さんにもインタビュー。
「初めての仕事にも自信を持って臨めるようになった」という青木さんに、受講のきっかけ・プログラムを通して得られた変化をお聞きしました。
※動画で視聴したい方はこちらのYouTube動画からどうぞ
ひとり親経験をもつコーディネーターが「働く」と「生活」をサポート
− ReRe
堤さん、吉田さんの自己紹介と、キャリア・マムさんについて教えてください。
− 堤さん
1997年に有限会社アクセルエンターテインメンツの代表取締役に就任し、2000年からは株式会社キャリア・マムの代表取締役として会社を運営しております、堤 香苗と申します。
私たちがひとり親向けの事業に携わらせていただくようになったのは、設立2年目ごろで、世田谷区や神奈川県のひとり親支援を皮切りに、主に関東圏で活動してきました。
今年度は、グラミン日本様と一緒に中京3県でも支援事業を行っております。
「在宅ワーク」という、いつでもどこでも働ける仕組みを整えることで、いろんな方がチャレンジできる土壌を作っています。
− 吉田さん
同じく、株式会社キャリア・マムの吉田です。
会社に入社して以来5年間、ひとり親支援事業に携わっております。
− ReRe
ありがとうございます。
東京都のひとり親の就業をサポートする「未来応援プログラム」について教えてください。
− 堤さん
私自身も離婚経験があるのですが、ひとり親の方には、良い意味でも悪い意味でも頑張り屋さんの側面があると感じています。
「ここ助けて」や「手伝って」と、もっと気軽に言えるようになれば良いなと思っていて。
そこで、東京都が実施する未来応援プログラムの運営では、一人で抱え込まずに前に進めるよう、就業コーディネーターに加え、「働く」と「生活する」の両面を支援するサポーターを配置しています。
プログラムの内容にも自信はありますが、何よりも人的なサポートを手厚くしていて、気持ちのサポートを通じて「すごく助けられた」というお声を多く頂いています。
− ReRe
気持ちのサポートを特に大事にされているんですね。
− 堤さん
そうですね。
サポーター自身もひとり親の経験をもっている点も、サポート体制の特徴です。
キャリアコンサルタントのようにアドバイスするのではなく、ご自身の経験をふまえ、お子さんの年齢や経済状況など、ひとり親一人ひとりの異なる課題や、離別・死別といった背景にも寄り添える仲間としてサポートしています。
前から引っ張ってくれる方と、後ろから「やれるよ」「大丈夫だよ」と背中を押してくれる、2つの異なる立ち位置の応援団がいるところが大きな特徴です。
<プログラムの内容>
- キャリアプラン作成と継続的なサポート
- 将来につながる学びを選択
- あなたにあった働き方・お仕事の提案
- アフターフォローで不安・悩みを相談受付
<応募要項>
- 募集人数:200名(応募者多数の場合、選考あり)
- 対象の方:東京都内在住のひとり親の方(配偶者と別居中含む、お子さんが20歳まで)、就業意欲が高い方
- 申込期間:2025年4月25日(金)~2025年6月13日(金) 17:00
※定員に達しない場合、継続して追加募集を行います - 事前面談:2025年5月10日(土)~2025年6月17日(火)
※応募者全員と面談(Zoom)を行い、受講を決定します
収入アップ・安定雇用を目指せるスキル支援
− ReRe
プログラムを通じて、どんなスキルが身につくのでしょうか?
− 堤さん
仕事を発注される企業様からのご要望に合わせて「今後こういうスキルが求められるだろう」という予測に基づいたプログラムを準備しています。
例えば、在宅で働く場合も、出社を希望される場合も、ひとり親の方にとって重要なのは「どれくらい働かないといけないか」という働く時間の自由度だと思います。
そして「家族に負担をかけない働き方」を一緒に考えていただける企業様が「この人がほしい」と思うスキルとは何か?という視点から、本年度のプログラムを準備しています。
<令和7年度スキルアップ講座>
- 安定安心の仕事に就く!FP資格取得講座
- デジタル時代の販促手法を学ぶ!Webマーケティング&AI活用講座
- 得意の聞き上手を仕事にする!インサイドセールス講座
- デジタル知識を強みにする!ITパスポート資格取得講座
- 仕事を効率化!事務スキル&クラウド活用講座
※5つのコースから1つを選択
− ReRe
令和7年度では、AI活用講座といった最新のデジタルスキルが学べるんですね。
− 吉田さん
プログラムの内容は毎年見直しており、特に企業様のニーズを重視しています。
特にコロナ以降、細やかなコミュニケーション能力・共感力が求められる営業職のニーズが高まっています。
営業職に苦手意識を持つ方も少なくありませんが、実際には、数字・売上だけを追いかけるような営業ではない営業も多くあります。
そうした営業の仕事を知っていただくことで、新たなスキル習得・安定した雇用につなげていきたいと考えています。
AI活用講座についても、すでにスキルをお持ちの方も学んでいただける、より収入を得ていただける内容を検討しています。
受講生の青木さん「子育て経験も立派なキャリアだと気づけた」
※令和6年度のプログラムを受講された青木さんにお話をお聞きしました
− ReRe
青木さんの自己紹介と、受講のきっかけを教えてください。
− 青木さん
青木 彩子と申します。
昨年3月に離婚し、高校1年生の娘と暮らしているシングルマザーです。
前職はクラシックバレエの教師で、夜遅い仕事だったため「働き方を変えたいな」と思っていたところ、武蔵野市の方からキャリア・マムさんのような会社があると教えていただきました。
「会社に勤めて働く経験がない自分には何もできないのではないか..」と不安でしたが、キャリア・マムさんから「ちっちゃなことからでいいんだよ」と教えていただき、アプリ開発の被験者・覆面調査として本を買うといった仕事をしてみました。
「私でも、ちょっとできるのかもしれない」という気持ちが湧いてきたころ、ひとり親向けの就労支援「未来応援プログラム」があること、キャリア・マムさんが運営していることを知り、巡り合わせじゃないかと思って受講してみました。
− ReRe
ありがとうございます。
受講当初や、サポーターの方とのやり取りはどういった印象でしたか?
− 青木さん
未来応援プログラムを通して、本当に小さなステップを一段ずつ上がらせていただいて、小さな階段を上るたびに選択肢が増えていく楽しさを実感しました。
サポーターの方とは「今日こんなことがありました」とか「良いお天気ですね」とか、日々のちょっとした出来事もLINEで話せて「一人じゃないんだな」という安心感がありました。
ファイナンシャルプランナーの方には、将来に必要なお金の設計についてアドバイスいただけて、相当な相談料がかかる内容も無償でサポートいただけたのは本当にありがたかったです。
サポーターの方もひとり親であったり、親の介護であったりと様々な悩みを抱えていらっしゃって、自分が一方的に頼るだけでなく、お互いに励まし合えるような関係性が築けました。
「私もその人を励ましてるんじゃないか」っていう勝手な思いかもしれませんが、「自分ばっかり何かしてもらってる」って思わないで済むことは、とても支えになりましたね。
− ReRe
お互いに励まし合える関係性というのは「引け目を感じなくていい」という面でも素晴らしいことですね。
− 青木さん
そうですね。
キャリアについても、以前は「自分には何のキャリアもない」と悲観的に考えていました。
ただ、「キャリアの棚卸し」という作業を最初にさせていただいて、子育ての中で子どもを学校に通わせたり、食事を作ったりしてきた経験も立派なキャリアだと気づかされました。
「ITスキル」+「その人が持っている人生のキャリア」の掛け合わせで仕事が生まれるというお話を聞き、自分の経験が強みになるんだと思えるようになりました。
Word(ワード)やExcel(エクセル)といったスキルを学ぶ前に、まず自分の人生を振り返り、客観的に見つめ直すというステップがあったことで、「私にもできることがあるな」と自信を持つことができ、次の一歩を踏み出す後押しをいただきました。
キャリアの見直し・ファイナンシャルプランナーとの相談など、普段なかなか機会がないことをプログラムの中で行っていただけたことで、漠然とした不安が整理され、気持ちがすっきりしました。
「勉強する期間がとても楽しかった」
− ReRe
スキルを身に着けていく過程は、振り返ってみていかがでしたでしょうか?
− 青木さん
働いた経験がなかったので、Word(ワード)、Excel(エクセル)、PowerPoint(パワーポイント)も全くの初心者でしたが、ビジネスサポートプログラムを受講させていただき、基本的な操作を習得できました。
「Excel(エクセル)って計算してくれるんだ!すごい! グラフにもなる!えー!」みたいな感じで。
パソコンも貸与していただいたのですが、勉強する期間がとても楽しかったですね。
※未来応援プログラムではパソコン・Wifiの無料貸出あり
ちょっと自信がついてきたので、働いてみようと思って面接に行き、幼児教室の受付の仕事が決まりました。
今までの子育て経験や、習い事の保護者としての気持ち、バレエ教室の教師や経営者の気持ちなど、経験を自分の強みとして活かすことができました。
経営者の方からも「とても役に立つよ」と言っていただき、「もっと働いてほしい」と頼られたり、パソコンスキルも何とか仕事についていけるレベルに達することができたのは、このプログラムのおかげだと感謝しています。
− ReRe
ありがとうございます。
プログラムを通じてスキルだけでなく、自信を着実につけていかれた様子がよくうかがえました。
「家にいながら学習できるのは大きな救いでした」
− ReRe
プログラムの学習と家庭の両立は大変でしたか?
− 青木さん
うちの娘も不登校だったのですが、ひとり親のご家庭では、お子さんの不登校でなかなか外に出れなくて、収入が減ってしまうケースも少なくないと聞いています。
その点、このプログラムはオンラインと動画で学習できたため、自宅にいながら自分のペースで学習を進められ、次の一歩につなげられたことは私にとって大きな救いでした。
− ReRe
学習と家庭を両立できるよう、配慮がされているんですね。
プログラムの中で、特に学べたことは何でしたか?
− 青木さん
私はビジネスサポートプログラムを選択したので、会社の事務的な作業を一通り理解し、自信を持って仕事に取り組めるようになったことが大きいですね。
実際に仕事に就いて、全く触ったことのなかった業務でも「青木さん、できるんだね」と言われれたり、「青木さんはできるから、ちょっと任せていい?」と頼りにしていただけることもあり、本当に嬉しかったです。
このプログラムでの準備があったからこそ、自信を持って対応できたんだと思います。
最初の一歩を踏み出すことはすごく大変だと思いますが、このプログラムは、まさにその最初の一歩をサポートしてくれて、自分には大きな助けになりました。
それから、「大人になって勉強するって楽しいんだな」とも感じました。
− ReRe
大人になって勉強することの楽しさを感じられたのは、今後にもすごく大きなことですね。
受講中は、同じ受講生とつながったりすることはあるのでしょうか?
− 青木さん
はい、プログラムの最初のころに、顔を合わせる機会が何回かありました。
皆さんも同じように子育てをしながら、いろんな悩みを抱えていて、「うちも同じだよ」と共感し合えたり、情報交換をしたりすることができました。
最初はちょっと億劫に感じていたんですけど、実際に参加してみると、いろんな出会いがあり、グループワークなどで「いや、うちもこうで、ああで」って話がいっぱい出てきたりして。
聞いていると「みんな一緒なんだな」っていう心強さを感じられて、気持ちが晴れて前向きな気持ちになれたことも、プログラムを受講して良かったことの一つでした。
娘からの「ママのことを応援してるよ」の言葉
− ReRe
受講後に、お子さんとの関係性などで何か変化はありましたか?
− 青木さん
娘は高校1年生になるタイミングで、通信制高校に通い始めて「大丈夫かな」なんて思ってたんですけど、今頑張って通っていて、友だちを作ったり、外に目を向けていくようになりました。
関係ないかもしれないですけど、私が新しいことに挑戦し始めたことが影響しているのかなって思います。
「ママのことを応援してるよ」とも言ってくれて、お互いにとって良い前進になるといいなと思っています。
− ReRe
素敵な関係性ですね。
きっと娘さんにもプラスの影響があると思います。
最後にひとり親の方へメッセージをいただけますか?
− 青木さん
最初の一歩を踏み出すことは本当に大変だと思いますが、その最初の一歩はすごく小さな歩幅でも良いのではと思います。
最初の一歩を歩いてみると「また次の足」って、なんとなく自然に出てきて、自分の進みたい方向が決まってくる気がしていて。
「就職」とか 「年収◯百万アップ」とか考えるよりは、まずは少しでも興味のある方向に足を踏み出してみることが、新しい景色がひらけるきっかけになると思います。
− ReRe
本当におっしゃるとおりですね。
未来の子どものために、親が今どのような生き方を選択するかが大事
− ReRe
堤さん、吉田さんからも、ひとり親の方へお一言を頂けますか?
− 堤さん
私自身もひとり親の経験がありますが、どんな状況であっても、子どもにとって親は「かけがえのない存在」です。
どんなタイプの親であっても、自分の親っていうのは、やっぱり子どもたちは大好きなんですよね。
今の子どもたちの生活だけでなく、未来の子どもたちが生きていくときのために、私たちが今どのような生き方を選択するかがすごく大事だと考えています。
東京都が主催するひとり親家庭就業推進事業では、未来の子どもたちの「働く」を創っています。
同じような経験や困難を乗り越えてきたサポーターたちが支えていきますので、ぜひエントリーいただきたいなと思います。
− 吉田さん
女性が働くこと、お母さん、お父さんが頑張っている背中を子どもたちが見ることは、これからの時代において大切なことだと感じています。
ひとり親の方もそうでない方も、親が輝き、子どもと一緒に頑張っていき、そして子どもたちが「お母さん、お父さん、すごいな」と思えるような事業にしていきたいと思っています。
ちょっとでも何かお一人で悩んでいることや、誰に相談していいか分からないことがあったら、ぜひこのプログラムに参加してみてほしいなと思います。
− ReRe
私たちReReも、一人でも多くの読者の方がチャレンジしていただけることを願っています。
堤さん、吉田さん、青木さん、本日は貴重なお話をいただき、ありがとうございました。
\ インタビューのYouTube動画はこちら /