離婚して母子家庭になったから、保険を考えたい
今入っている保険を見直したい
という方へ、シングルマザーならではの保険の選び方・見直し方を解説します。
基本的なステップは以下3つ。
- 子供にかかるお金などから、必要な資金を把握する
- 公的保障で補えるお金を把握し、足りない分を計算する
- 保険の種類やそれぞれのメリット・デメリットを知り、1. 2. をふまえて必要性を感じる場合に加入を検討する
特に 1. 2. は重要。
必要な資金がわからないと、無駄に不安を感じて重要性の低い保険に加入してしまい、日々の生活が苦しくなってしまいかねません。
逆に必要な資金がわかれば、あとは自分にあった保険を取捨選択することで、将来起こりうるリスクに対し、適切に備えることができます。
これらをふまえて、
- 保険の種類
- それぞれの保険のメリット・デメリット
- シングルマザーが保険に入る際の注意点
をご紹介していくので、参考にしてみてください。
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保険を選ぶ前に、必要な資金を把握しよう
まずは、必要な資金を把握するためにも、将来子供にいくらくらいの費用がかかるのか、計算するところから始めましょう。
参考として、内閣府が調査した「第1子一人当たりの年間子育て費用額」のうち、シングルマザーの平均年収(約240万円)に近い世帯年収300万円未満の方々のデータがこちら。
就学区分 | 年間の子育て費用額 |
---|---|
未就園児 | 656,292円 |
保育所・幼稚園児 | 966,522円 |
小学生 | 856,496円 |
中学生 | 1,168,068円 |
高校生・大学生のデータはありませんが、今では「高校無償化」「大学無償化」といった制度もできています。
これらをもとに、ざっくりとでいいので、子供を育てるのにいくら必要なのかを計算してみましょう。
シングルマザーが子供1人を小〜高校生まで育てる場合、仮に高校生にかかる年間費用が1,200,000円とすると、ざっくり約1,200万円かかることになります。
シングルマザー向け支援制度で補えるお金を把握しよう
シングルマザーが保険を検討する際のポイントは、母子家庭向けの支援制度があること。
受けられる手当・助成がどれくらいあるのか把握した上で、不足する分を保険で補う必要があるのかどうかを考えていきましょう。
遺族年金
シングルマザーのあなたが亡くなってしまった場合、残された子供は「遺族年金」を高校を卒業するまで受け取ることができます。
遺族年金には「遺族基礎年金」「遺族厚生年金」の2種類があり、死亡保険を検討する際は、これらを含めて必要額を計算するようにしてみてください。
遺族基礎年金
国民年金に加入しているシングルマザーが対象。
- 対象者
- 国民年金に加入しているひとり親
- 18歳になって最初の3/31に達していない子供がいる(一定の障害がある場合は20歳未満の子供)
- 金額 (令和6年4月分から)
816,000円+2人目以降の子の加算額
2人目の子の加算額 :各234,800円
3人目以降の子の加算額:各 78,300円
- 子供が1人の場合:816,000円
- 子供が2人の場合:1,050,800円(816,000円+234,800円)
- 子供が3人の場合:1,129,100円(816,800円+234,800円+78,300円)
参考:日本年金機構 遺族基礎年金
遺族厚生年金
厚生年金に加入しているシングルマザーが対象で、先ほどの遺族基礎年金と合わせて受けとれます。
支給される年金額は、あなたの収入・厚生年金への加入実績によって決定。
ただ、計算がとても難しいため、お近くの年金相談センターか、FP(ファイナンシャル・プランナー)に聞くことをオススメします..
参考:日本年金機構 遺族厚生年金
ひとり親家庭の医療費助成
シングルマザーや子供が病院などで診察を受けた際に、通院代・お薬代の一部を自治体が助成してくれます。
受給できる金額・所得制限などは自治体によって違いますが、東京都・大阪市だと以下のとおり。
住民税 課税の世帯:自己負担1割
住民税 非課税の世帯:自己負担なし
参考:東京都福祉保健局 ひとり親家庭等医療費助成制度(マル親)
自己負担:1医療機関ごと 1日最大500円
参考:大阪市 ひとり親の医療費助成
「入院代・先進医療の受診などは対象外」といった規定もあるので、対象外の部分を医療保険などでカバーするべきかどうかを検討しましょう。
(※医療保険については後ほど詳しく解説します)
保険の種類、それぞれのメリット・デメリット
保険は大きく分けて貯蓄型・掛け捨て型の2種類
保険は、大きく貯蓄型・掛け捨て型の2種類に分けられます。
- 貯蓄型
保険期間の満了時に必ず保険金を受け取れたり、解約したときに返戻金を受け取れたりと、貯蓄性がある保険
- 掛け捨て型
あなたに何事もなく保険期間が過ぎたり、途中で解約した場合は、保険料が戻ってこない or 戻ってきてもごく少額となる、貯蓄性のない保険
え、掛け捨てだったら支払った保険料が無駄になるから、ぜったい貯蓄型のほうがいいじゃん!
と思うかもしれませんが、同じ保障額で比較すると、貯蓄型より掛け捨て型のほうが支払う保険料は安いです。
そのため、シングルマザーの中には
子供が就職するまでのリスクをカバーできればいいから、それまでは保険料が安い掛け捨て型の保険に入ろう
と判断する方も少なくありません。
保険のタイプによっては、貯蓄型 or 掛け捨て型のどちらかを選べるタイプや、どちらか一方しかないタイプもあります。
ここからは、その保険のタイプについて、それぞれご紹介していきます。
死亡保険
シングルマザーのあなたが亡くなったときに、子供が保険金を受け取ることができます。
死亡保険については、先ほどご紹介した「遺族年金」で受け取れるお金も含めた上で必要額を計算し、検討するようにしましょう。
死亡保険は、終身保険・定期保険・収入保障保険と、大きく3つの種類に分かれます。
終身保険
保障が一生涯続き、あなたがいつ亡くなっても、子供は保険金を受け取れます。貯蓄型です。
◎ メリット
- 保障が一生涯にわたって継続する
- 貯蓄型で支払った保険料が無駄にならない
- 払込期間が長いと、途中解約しても解約返戻金を受け取れる
△ デメリット
- 保険料が割高
- 払込期間が短いと、途中解約すると解約返戻金が元本割れする
定期保険
終身保険とは違い、10年間だけ or 60歳まで など、一定期間のみを保障する保険。
掛け捨て型です。
◎ メリット
- 保険料が安い
- 終身保険と比べて大きな保障を受けやすい
△ デメリット
- 保険期間の満了時・途中解約時に、支払った保険料が戻ってこない
- 更新時に保険料が上がる
- 更新できる年齢の上限が決まっている
収入保障保険
シングルマザーのあなたが亡くなった場合に、子供が毎月一定額の保険金を受け取ることができます。
定期保険の一種ですが、通常の定期保険と異なり、時間とともに受け取れる保険金が減っていきます。
- 40歳で死亡した場合:総額1,500万円が支払われる
- 50歳で死亡した場合:総額700万円が支払われる
ただ、保険金が減る代わり、通常の定期保険よりも保険料がさらに安いのが特徴。
子供が大きくなるほどトータルで必要な学費・生活費は減るので、合理的にリスクカバーできます。
◎ メリット
- 保険料が定期保険よりさらに安い
- 保険金を毎月受け取れるので、無駄遣いを防げる
- 終身保険と比べて大きな保障を受けやすい
△ デメリット
- 保険期間の満了時・途中解約時に、支払った保険料が戻ってこない
- 葬儀費用などのまとまった資金の準備には不向き
死亡保険に加入したほうがいいシングルマザーは?
もし自分が亡くなったら、遺族年金のお金だけじゃ子供の生活が不安..
というシングルマザーの方は加入しましょう。
種類については、以下それぞれのライフプランに合わせて選択を。
- 「支払った保険料が無駄になるのは嫌だ。子供が就職しても保障を確保したい」
→ 終身保険 - 「一定期間の万が一のときだけ、子供が手厚い保障が受けられるようにしたい」
→ 定期保険 - 「とにかく保険料を安くして、子供が就職するまでリスクカバーできればいい」
→ 収入保障保険
医療保険
病気やケガによって手術・入院をした場合に、一定額の保障を受けられる保険です。
貯蓄型と掛け捨て型の両方があります。
ただ、シングルマザーにとって医療保険の優先度は高くありません。先ほどお伝えした、ひとり親家庭の医療費助成があるからです。
とはいえ、以下のような費用・リスクは、ひとり親家庭の医療費助成では保障されません。
- 入院中の食費・ベッド代
- 先端医療の治療費
- 国民健康保険に加入している方は傷病手当金を受け取れないため、病気・ケガで収入ゼロになる
特に3つ目については、自営業・パート・アルバイトで国民健康保険に加入している方には休業を補償する制度がないので、不安な方は要検討です。
医療保険も死亡保険と同じく、一生涯保障される終身タイプと、保障される期間の決まっている定期タイプがあり、定期タイプのほうが支払う保険料は安くなります。
◎ メリット
- 病気やケガになっても貯蓄が減らない
- 保険適用の治療では改善が難しい病気に対し、費用の心配なく先進医療を受けられる
- 医療保険に支払う保険料は「生命保険料控除」の対象になり、税金の負担が減る
△ デメリット
- 毎月支払う保険料が生活の負担になる
- 健康に関する告知が必要で、高齢であるほど保険料が高くなる
医療保険に加入したほうがいいシングルマザーは?
もしも自分が入院してしまったときのお金が心配..
という方は医療保険の検討を。
ライフプラン・お財布との相談で、いずれかのタイプを選択しましょう。
- 「年齢が上がるほど病気のリスクは高まるし、生涯にわたって備えたい」
→ 終身タイプ - 「一定の期間でいいから、保険料を安く病気・ケガのリスクに備えたい」
→ 定期タイプ
がん保険
がんにかかった場合の保障に特化した保険。
貯蓄型と掛け捨て型の両方があります。
「女性のがん罹患率は20〜60代までは男性よりも高い」といわれていて、若くして乳がん・子宮がんになる女性も少なくありません。
一応、国民健康保険・社会保険に入っていれば「高額療養費制度」が適応されます。
高額療養費制度では、がんなどの医療費が一定額を超えて高額になった場合、一定額を超えた分が払い戻しされ、単月だけなら自己負担を8万円ほどに抑えることができます。
ただし、以下のような費用・リスクは高額療養費制度では保障できません。
- 通院・治療が長期にわたった場合に自己負担額が増える
- 国民健康保険に加入している方は傷病手当金を受け取れないため、入院中は収入ゼロになる
- 先進医療での治療費は全額自己負担
先進医療は、一般的な放射線治療よりも高い効果が期待され、副作用なども少ないとされています。
- 陽子線治療 :放射線の一種である陽子線(粒子線)をがん細胞に照射。治療費は260万円前後。
- 重粒子線治療:重粒子線(炭素イオン線)をがん細胞に照射。治療費は300万円前後。
がん保険には「免責期間」といって、加入して90日間はがんに関する保障を受けられないケースがあるので、早め早めに検討するようにしましょう。
◎ メリット
- がんになったときの治療費・入院費用の心配がいらなくなる
- 先進医療・化学療法(抗がん剤など)・放射線治療といった高度な治療をお金の心配なく受けられる
△ デメリット
- 毎月支払う保険料が生活の負担になる
- がん以外の病気・ケガに対応できない
- 加入後に保障されない免責期間がある
がん保険に加入したほうがいいシングルマザーは?
家系的にも、がんは大丈夫だと思う
という方は、がん保険は不要かと。
逆に、
万が一の場合、生活が不安..
もしがんになったら、先進医療を受けたいな
という場合は加入を検討してみてください。
学資保険
子供の教育資金を準備するための保険。
貯蓄型で、子供が一定の年齢を迎えたときに保険金を受け取れます。
プランによっては、小学校・中学・高校・大学の入学時にお祝い金を受け取れるものもあります。
学資保険で特徴的なメリットは、契約者(シングルマザー)に万が一のことがあった場合、それ以降の保険料を支払わなくても保険金を予定どおり満額受け取れることです。
銀行にお金を預けて貯金するくらいなら、学資保険のほうがお得な部分は多いといえるでしょう。
◎ メリット
- 自動的かつ確実に教育資金を貯められる
- 銀行に預けるより高利率で、資産が増えやすい
- 学資保険に支払う保険料は「生命保険料控除」の対象になり、税金の負担が減る
△ デメリット
- 途中解約すると、解約返戻金が元本割れする
- 満期までお金を引き出せない
- インフレになると預けたお金の価値が下がり、必要な資金に足りなくなる可能性がある
学資保険に加入したほうがいいシングルマザーは?
子供の教育資金をコツコツ口座に貯めていきたい
という方は、銀行にお金を預けるよりはお得な学資保険を検討してみましょう。
就業不能保険
病気・ケガで働けなくなった場合に、毎月お給料のように給付金を受け取ることができ、生活費を保障してくれます。
貯蓄型はなく、掛け捨て型のみです。
入院・療養のために仕事を休むと、公的な保障(傷病手当金)でも生活費すべてをまかなうのは難しいですが、就業不能保険なら可能になります。
◎ メリット
- 病気・ケガで働けなくなっても、今までどおりの生活費が保証される
- 医療保険ではカバーできない在宅療養も保障の対象となる
△ デメリット
- 毎月支払う保険料が生活の負担になる
- 加入して60〜180日間ほどは保障を受けられない「免責期間」がある
- 「うつ病などの精神疾患は対象外」というものもあり、対象内でも「保険金の給付には60日以上の入院が必要」といった条件がある
就業不能保険に加入したほうがいいシングルマザーは?
万が一働けなくなっても、社会保険に加入してるから傷病手当金で十分
という方は、就業不能保険は不要かと。
逆に、
もし働けなくなっても、今までどおりの生活費を確保したい
国民健康保険に加入してて傷病手当金を受け取れないから、病気・ケガで収入ゼロになったときが心配..
というシングルマザーの方は、加入を検討してみてください。
シングルマザーが保険に加入するときの注意点
ここまで保険種類、それぞれのメリット・デメリットをご紹介してきましたが
そもそも、私が亡くなったら子供はどうやって保険金を受け取るの? 手続きは誰が?
と思った方もいるかもしれません。
シングルマザーが亡くなった場合、子供が未成年であれば、受け取りの手続きは「未成年後見人」が行う決まりとなっています。
未成年に親権者がいなくなった場合に、親権者とほぼ同等の権利義務をもつ人のこと
未成年後見人は家庭裁判所によって選任されますが、あなたの遺言書があれば、祖父母・兄弟姉妹・友人になってもらうことが可能です。
元夫に保険金の管理を任せたくない..
という方は、遺言書で自分の意志を残すようにしましょう。
遺言書の作成は、公証役場で手続きをしたり、弁護士に依頼することでも可能です。
必要な資金・保険がわからない場合は、FPに相談してみよう
シンママの保険選びのポイントをおさらいすると、
- 公的保障で補えるお金も含めて、必要な資金を計算する
- それぞれの保険の特徴をふまえ、必要性のある保険に加入する
- 保険金の受け取りには、未成年後見人を指定しておく
もちろん「保険料の支払いで生活が苦しい..」となってしまっては、逆に子供のためにならないので、『無理なく払い続けられる保険料』にすることが大切です。
とはいえ、
将来いくらお金が必要なのか、計算が難しい..
自分だけじゃ、どの保険を選べば良いのかわからない..
という方もいるかと思います。
そんなときは、FP(ファイナンシャル・プランナー)に相談してみましょう。
会社によっては無料で相談できる場合もあるので、ぜひインターネットで「FP 無料相談」と調べてみてください。
シングルマザーの保険選びに今回の内容を参考にしていただけると幸いです。