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【弁護士監修】養育費を一括で支払ってもらうための手続き【シングルマザー向け】

【弁護士監修】養育費を一括で支払ってもらうための手続き【シングルマザー向け】

養育費を元配偶者に請求したいと考えているものの、

養育費の支払いが滞るかもしれない..
経済的な不安を抱えたくない..

と感じているシングルマザーの方に向けて、養育費を一括で受け取ることができるのか、また、その方法や注意点について解説します。

一括払いにはメリットが多い反面、慎重に考えるべき点もあります。

この情報を参考に、経済的安定を目指す一歩を踏み出していただければ幸いです。

この記事を監修した人

アディーレ法律事務所 弁護士 池田 貴之

弁護士 池田 貴之 アディーレ法律事務所

法政大学、及び学習院大学法科大学院卒。アディーレ法律事務所では家事事件部にて、不貞の慰謝料請求、離婚、貞操権侵害その他の男女トラブルを一貫して担当。その後、慰謝料請求部門の統括者として広く男女問題に携わっており、日々ご依頼者様のお気持ちに寄り添えるよう心掛けている。東京弁護士会所属。

アディーレ法律事務所 弁護士 池田 貴之

弁護士 池田 貴之 アディーレ法律事務所

法政大学、及び学習院大学法科大学院卒。アディーレ法律事務所では家事事件部にて、不貞の慰謝料請求、離婚、貞操権侵害その他の男女トラブルを一貫して担当。その後、慰謝料請求部門の統括者として広く男女問題に携わっており、日々ご依頼者様のお気持ちに寄り添えるよう心掛けている。東京弁護士会所属。

目次

養育費一括払いのメリット

養育費の一括払いには、シングルマザーにとって以下のような大きなメリットがあります。

支払が滞るリスクを回避できる

離婚後、元配偶者が経済的に困難な状況に陥ったり、支払い意欲を失ったりするケースは少なくありません。

そのため、養育費を毎月支払ってもらう原則的な方法だと、将来的に支払いが滞ってしまうリスクがあります。

元配偶者が養育費の一括払いに応じてくれれば、こうした不安を根本的に解消できます。

経済的な安定感を得られる

一括払いにより、まとまった金額を手にすることで、シングルマザーの将来の生活設計がより具体的になります。例えば、子どもの教育費、医療費など、大きな出費に備える資金として活用できるでしょう。

経済的不安が軽減されれば、仕事の選択肢が広がったり、子どもとの時間を大切にした生活を送りやすくなったりします。精神的な安定が得られることも、大きな利点の一つです。

また、毎月の支払状況を確認したり、未払いがあった場合に催促したりする手間が不要になります。養育費を一括で受け取ることで、こうしたストレスからも解放されるでしょう。

養育費一括払いのデメリット

一括払いにはメリットがある一方、シングルマザーにとっては、以下のようなデメリットも忘れてはなりません。

元配偶者に十分な経済力がないと実現できない

一括で払ってもらうには、元配偶者に十分な経済力があることが前提となります。

もし経済的な余裕がなければ、そもそも一括払いの交渉が成立しません。そのため、元配偶者の経済力を見極めることが重要です。

将来のインフレや物価上昇リスクがある

一括払いでは、将来の物価上昇や、子どものニーズの変化に対応しきれない場合があります。

養育費を毎月支払ってもらう原則的な方法であれば、必要な額について元配偶者と話し合える余地もありますが、一括払いではこれが難しくなる可能性があります。

これらのリスクを十分に理解した上で、シングルマザー自身と子どもにとって最善の選択を検討することが重要です。

贈与税が賦課されるリスクがある

養育費は原則として月払いとなるため、本来は未だ具体的に発生しておらず将来受け取るべき養育費をあらかじめ一括で受け取る場合には、贈与税の課税対象となる可能性があります。

また、養育費の一括払いを受け取る場合、その受け取る養育費には、数年後、十数年後の将来の養育費も含まれています。

そうすると、本来、将来の支払時期に受け取るはずの養育費を先行して受け取った上で金融商品を購入して投資するなどして、本来の養育費の支払期限まで、一括払いを受けた養育費を運用することが可能となります。

そこで、養育費の合計額から将来の利息分(中間利息)を控除して、現在の価値に引き直すことが必要となります。具体的には、民法上の法定利率である年3%を基礎として、中間利息(ライプニッツ係数)を養育費の総額から控除することになります。

養育費を一括で支払ってもらうことはできる?

養育費を一括で支払ってもらうことも状況によっては可能ですが、元配偶者の経済力に余裕があることや双方の合意が不可欠です。

一括払いの可能性があるケースには、以下のようなものがあります。

元配偶者に十分な資産がある場合

元配偶者がまとまった貯蓄をしている、または不動産や株式などの換金可能な資産を所有している場合には、一括払いの可能性が高まります。

特に、元配偶者が相続財産を手にしている場合は、これを養育費の一括払いに充ててもらえるかもしれません。

元配偶者の収入が高く、安定している場合

元配偶者が高収入であり、将来的にも経済的な安定が見込まれる場合、一括払いの提案が受け入れられやすくなります。

例えば、公務員や正社員など、収入が安定した職業についている場合には、養育費の一括払いに応じてもらえる可能性が高まるといえるでしょう。

元配偶者が継続的な支払いを避けたいと考えている場合

養育費の継続的な支払いを煩わしいと感じる元配偶者が、一括払いに応じてくれる場合があります。

今後も毎月毎月、何年にもわたる支払義務から早く解放されたい

という心理が働くケースも少なくありません。

シングルマザーが元配偶者の経済力を確認する方法

一括払いを提案する際、まず元配偶者の経済力を正確に把握することが必要です。シングルマザーがこれを怠ると、後々のトラブルにつながる可能性があります。

以下は、元配偶者の経済力を確認する具体的な方法です。

収入に関する資料の提示を求める

まずは、適正な養育費の月額を算定するためには、シングルマザーのあなたの収入と、元配偶者の収入がそれぞれいくらなのかを把握する必要があります。

たとえば、元配偶者に以下の書類を提示してもらうよう求めましょう。

  • 給与明細
  • 賞与明細
  • 源泉徴収票
  • 確定申告書

これにより、元配偶者の毎月の収入が安定していそうかどうかを確認できます。

資産状況を確認する

元配偶者が保有する預貯金や、不動産、株式などの資産情報を確認できれば、それに越したことはありません。

例えば、預金通帳の写しや不動産登記簿謄本の提示を求めることが有効ですが、離婚後にシングルマザーがこれを求めるのは通常は難しいでしょう。

負債状況を把握する

元配偶者が多額の借金を抱えている場合、一括払いを求めることは現実的でありません。

そのため、元配偶者の借入状況についても確認できれば安心です。

弁護士を活用する

シングルマザーが自分で確認することが難しい場合には、弁護士に養育費の交渉を依頼し、弁護士を通じて元配偶者の収入や経済状況を確認することも選択肢の一つです。

なお、調査のためだけに弁護士を使うことはできませんが、養育費の請求を弁護士に依頼した場合には、養育費を請求するにあたって必要な資料を開示するよう弁護士が元配偶者に請求します。

家庭裁判所で資料の開示を求める

この後にご説明する養育費を請求する調停の場で、元配偶者に収入や財産に関する資料の開示を求めることも可能です。

ただし、養育費の額は原則として元夫婦それぞれの収入と未成熟子の年齢・人数によって決まってくるので、元配偶者の収入資料そのものではない、資産に関する資料については、開示を求めても元配偶者に拒否される可能性は残ります。

また、例えば預金口座であれば銀行名と支店名など、「この金融機関に間違いなく元配偶者名義の預金口座がある」ということを把握した上で開示を請求することが大切です。

シングルマザーがまったく手掛かりがない状態で開示を求めても、元配偶者がのらりくらりとした対応に終始し、開示に応じてもらえないことも考えられます。

一括払いのための具体的な手続き

一括払いを実現するためには、まず元配偶者との話し合いが必要です。

交渉を始める際のポイント

  • 感情的にならず、冷静に話し合いを進める
  • 元配偶者の事情や希望を理解しつつ、自分の希望を明確に伝える

また、養育費の一括払いに関して合意に至った場合、以下の手続きが重要です。

  • 合意書の作成
    合意内容を明文化し、双方が署名します。
  • 公正証書の作成
    法的効力を持たせるために、公証役場で公正証書を作成します。公正証書を作成しておけば、元配偶者が養育費の支払いを怠った場合、通常の裁判手続きを経ずに強制執行ができます。ただし、強制執行をするためには、元配偶者の勤務先や財産を把握していることが必要となります。

なお、シングルマザー自身で交渉や書面の作成が難しい場合、上手く進まない場合には弁護士に依頼したほうが良いでしょう。

シングルマザーが法的手段を活用する方法

交渉がうまく進まない場合、法的手段を検討します。

既に離婚済みの場合や未婚のシングルマザーの場合であれば、養育費請求調停の申立書を家庭裁判所に提出します。養育費請求調停では、調停委員を介して元配偶者と話し合いを行い、合意(調停成立)を目指します。

養育費請求調停が不成立の場合は「養育費請求審判」という裁判に進みます。この場合、裁判官が養育費の金額や支払方法について判断しますが、養育費は毎月払いが原則となりますので、一括払いは困難となります。

養育費一括払いでシングルマザーが注意すべき点

シングルマザーが一括払いを検討する際には、以下の点に注意しましょう。

一括払いが現実的かどうか慎重な検討が必要

一括払いを行った元配偶者が、後に経済的に困窮した場合、関係性の悪化やトラブルに発展する可能性もないとはいえません。

たとえば、元配偶者が無理をして一括払いを行った結果、借金を抱えるなどしてあなたや子どもに援助を求める事態になることも考えられます。

そのため、元配偶者の経済状況を正確に把握し、一括払いが現実的かどうかを慎重に検討することが必要です。

受け取った養育費を適切に管理することが大切

シングルマザーがまとまった金額を受け取った場合、その資金を長期的に管理することが必要になります。しかし、計画的に管理できなければ早期に使い切ってしまい、生活が再び不安定になる可能性があります。

たとえば、教育費や生活費を別々の口座に分けず、すべてを日常の出費に使ってしまうというケースも考えられるでしょう。

そのため、金融機関やファイナンシャルプランナーに相談し、適切な資金管理の方法を学ぶことをオススメします。

元配偶者との交渉や手続きが難航なケースもある

養育費の一括払いを実現するためには、元配偶者との話し合いや手続きが必要ですが、一括払いは強制することができないため、スムーズに進まない場合があります。

たとえば、元配偶者が支払いを拒否しているケースや、金額や支払時期について元配偶者と折り合いがつかないケースでは、交渉が難航し、家庭裁判所での調停に進む可能性もあります。

子どもへの関心を保てるような取り決めが大切

一括払いの場合、元配偶者が養育費を支払い終えると子どもとの関わりを持つ機会が減ります。そうなると、その後の子どもへの関心が低くなったり、支援をしなくなったりする可能性があります。

そのため、面会交流や、元配偶者が子どもへの継続的な関心を保つような取り決めを行うことも重要です。

柔軟性のある取り決めが必要

一括払いは一度合意すると、その内容を後から変更することが難しい場合があります。

例えば、子どもが成長するにつれて必要な金額が増えたとしても、一括払いでは追加の支払いを求めることは困難です。

そのため、合意書を作成する際には、将来の状況変化を考慮した柔軟性のある内容を取り入れることも検討しましょう。

養育費の一括払いは慎重に考えよう

養育費の一括払いには「支払が滞るリスクを防ぐ」という大きなメリットがある一方で、

  • そもそも元配偶者と合意することが難しい
  • 贈与税の問題
  • 将来の生活費増加に対応できない可能性がある
  • 資金管理が容易ではない

と多くのリスクもあります。

一括払いを選択する際には、これらのリスクを十分に理解し、慎重に計画を立てることが重要です。

養育費の問題に直面しているのは、決してあなただけではありません。まずは信頼できる専門家に相談し、最善の選択をしてください。

あなたの未来とお子さんの幸せのために、適切なサポートを受けながら一歩一歩進めていきましょう。

» 本記事を監修した池田先生の紹介はこちら

» 参考:【最新版】シングルマザーの養育費の相場【頼りすぎはオススメしません】

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この記事を書いた人

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