
食料支援を受けられたらな..
というシングルマザー・シングルファザーの方へ、インタビュー記事をお届けします。
今回お話を聞いたのは、静岡県を中心に、生活困窮世帯へのフードバンク事業を行っている特定非営利活動法人フードバンクふじのくに事務局長の望月さん。
生活に困っている方が自立に向けて進んでいけるよう、支援する食料品の選定や賞味期限について徹底して管理をされています。
「箱を開けたときに喜ぶ顔を想像し、想いを込めて荷造りしています」という望月さんに、活動の詳細や想いをお聞きしました。
※動画で視聴したい方はこちらからどうぞ
スーパー・食品業者などの協力を得て食品を調達
− ReRe
活動内容をお聞かせいただけますか?
− 望月さん
2014年度から活動を開始しており、主に静岡県内でフードバンク事業を展開している団体です。
何らかの事情で捨てざるを得ない食品をご寄贈いただき、生活に困って「明日の食事もないよ」という方へ、食品を提供させていただいています。
− ReRe
どういった団体さんからのご寄贈が多いのでしょうか?
− 望月さん
パッとお話ししやすいのが静鉄ストアさんという、静岡県の中部を中心に30店舗くらい展開されているスーパーなんですけれども、そこに「食品回収ボックス」を置いていただいて、お買い物に来られた方に食品回収を募っています。
それで在庫品などを含めて年間13トンぐらいの寄贈をいただいていて、あとは労働組合さんを通じて、会社の防災備蓄品の買い替え時期などで食品を頂いています。
ほかには、静岡は食品の加工業者さんが多いので、個別にお声がけさせていただいています。
特にフードバンクはレトルト食品や缶詰をたくさん使うので、静岡缶詰協会という団体さんからも食品をいただいていたり、いろんなところから、いろんな方の協力を得て食品を集めています。
− ReRe
どういった方に食品が行き渡るようになっているのでしょうか?
− 望月さん
食品配布については、いただいた食品をどなたに使うか、私たちのほうで優先順位を決めさせていただいています。
一番優先しているのは、生活に困っている世帯の方です。二番目は子ども食堂さんや福祉施設さんで、三番目は災害支援向けとなります。
生活に困っている方が自立するための食料支援
− 望月さん
こちらが、フードバンクふじのくにの「食品の流れ」です。


ポイントは、フードバンクふじのくにから食料希望者へは直接矢印が向いていないところです。
食料は、市の福祉課や社会福祉協議会さん、支援団体さんを通じてお渡しをしています。
理由としては、食料を希望される方が「なぜ食料を希望する状態になっているのか」「なぜ困っているのか」をしっかり明らかにした上で食料支援をするべきと考えているからです。
「なぜ食料を買うお金がないか」というと、人それぞれに事情がバラバラに分かれてきます。
病気がちで仕事ができず、安定した収入がないので、食費に回すお金がない方もいらっしゃれば、バリバリ稼いでいるけれども、お金使いが荒くて借金があり、生活が成り立たない方もいます。
いろんな理由で「お金がなくて食料がない」という方がいらっしゃる中、全て一緒くたにして「我々がすべて判断して食料を渡す」という方式だと、その人の何の解決にもならないと思います。
2015年に生活困窮者自立支援制度が施行され、どの市にも必ず一つ以上の「生活に困った方の相談窓口」が作られました。
相談の中で「食料がありません」という悩みがあれば、我々の出番ということで食料支援をさせていただいており、車輪の両輪のようなイメージで相談窓口と連携して支援活動を行っています。
− ReRe
ありがとうございます。大変よくわかりました。
自立を阻害しないよう商品・賞味期限を徹底管理
− 望月さん
私たちがフードバンクとして気をつけていることが、賞味期限についてデリケートに扱うことです。
例えば、フードバンクからの支援品の中に、賞味期限の切れた商品が入っていると「自分は困窮者だから、こんなものでも食べていればいいと言うのか」と気分を害される方も多いと思うんです。そうすると、自立への思いを遮断する可能性が出てきます。
そのため、「もらえて嬉しい」と思えるような食品を集めて、賞味期限内に消費してもらうことが大切だと考えています。
フードバンクふじのくにのホームページを見ていただくと、「募集している食品」のところに条件がたくさん書いてあるんですよ。「賞味期限が〇〇以上残っているものでお願いします」「ニーズの少ない商品(※アルコール・栄養ドリンクなど)は回収できません」などが書かれてあります。


「なんだよ」って思う方もいらっしゃると思うんですけど、食料をもらった方は、やっぱり栄養ドリンクよりもレトルト食品や缶詰のほうが嬉しいわけですよね。もちろん、賞味期限切れのものも渡せません。
そういった方針もあって、今のホームページの表記になっていることを、食品を提供してくださる方にはご理解をいただいています。
箱を開けたときに喜ぶ顔を想像しながら荷造り
− ReRe
食料支援の中には、ほかにどういったものが入っていますか?
− 望月さん
常温保存ができる食品のみを取り扱っていまして、まず炊飯器が使える方にはお米を入れています。
農家の方やスーパーさんからいただいたものを、1kgごとのパックとして、箱の底に入れるようにしています。
あとは喜ばれる食品でいうと、缶詰・レトルト食品・カップラーメン・袋ラーメンを入れさせていただいて、場合によっては調味料を入れることもあります。
お子さんが多かったり、小さなお子さんがいらっしゃる場合は、年齢層に合わせたお菓子を一番上に入れます。
箱が届いたときに、箱を開けるのはだいたいがお子さんだと思うので、お子さんがパッと開けたときに「わぁーっ」って喜んでもらえるように作っています。
− ReRe
支援する方に合わせて、いろいろ組み合わせていただけるんですね。
− 望月さん
そうですね。
支援する方の情報は、相談窓口からの依頼書に「世帯人数」「年齢」「何日分の食品が必要か」などが書かれているので、依頼書を見て「この人が喜んでくれたらいいな」と想像しながら、箱の中身を作っています。


− ReRe
想いがこもった食料支援の中身になっているんですね。
− 望月さん
そうですね、そこはもう「想いを込めるしかないな」と考えていますので。
困っていないときから支援情報を入手してほしい
− ReRe
ひとり親の方に向けて、メッセージをいただけますか?
− 望月さん
困り果てる前に市や町の窓口の方、ひとり親の支援団体の方に相談してみてほしいと思います。
やっぱり、情報はすごく大事だと思っています。
困っているとき・困っていないときにかかわらず、今のうちにいろんな支援情報をたくさん持っておいて、いざ困ってしまったときに「じゃあ、ここに行けばいい」ということを想定しておくことが大切です。
ひとり親の方向けの相談窓口は、どんどんと増えています。
「自分は大丈夫」とは思わないで、困り果てる前に、どうか支援情報を仕入れておいていただけると良いかなと思います。
− ReRe
おっしゃるとおり、情報を持っておくことは大事ですね。
望月さん、本日は貴重なお話をいただきまして、ありがとうございました。
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