
生活が苦しくて、食品や日用品を十分に買えない..
という方へ、インタビュー記事をお届けします。
今回お話を聞いたのは、北海道恵庭市(えにわし)を拠点に活動する、認定NPO法人まちづくりスポット恵み野 事務局長の平井さん。
ひとり親世帯を含む困窮者が食品や日用品を無償で受け取れる施設「コミュニティフリッジ恵庭」・子どもの生活と学習支援など、幅広く子育て支援をされています。
地域住民が安全・安心な暮らしができるよう活動されている平井さんに、活動の詳細や想い・恵庭市の魅力をお聞きしました。
※動画で視聴したい方はこちらからどうぞ
食品・日用品を無償で受け取れる「コミュニティフリッジ恵庭」
− ReRe
活動内容をお聞かせいただけますでしょうか?
− 平井さん
まちづくりスポット恵み野は、北海道恵庭市にある中間支援・まちづくりのNPO法人です。
今日お話しするコミュニティフリッジはまちづくり推進事業の一つで、フードバンクがプロジェクトのひとつで、そこにコミュニティフリッジが含まれます。
フードバンクのほかに、花のまちづくり、子どもの生活・学習支援、対話によるまちづくり、防災という5つのプロジェクトで、まちづくりの推進事業が確立されています。
他には、子ども向け・子育て家庭向けの事業も行っており、私自身はまちづくりスポット恵み野にて事務局長をしています。
− ReRe
フードバンクの活動について、詳しくお伺いしてもよろしいでしょうか?
− 平井さん
プートバンク事業は、コロナ禍で飲食店のバイトがなくなってしまった学生のために、近くの大学生向けにフードパントリーをスタートしたのがきっかけです。
アフターコロナになり、大学側が独自でフードパントリーをスタートできたこともあり、いい形で幕引きをしました。
ただ、寄付してくださる方はまだいらっしゃったので、細々とフードバンク事業は続けていたんですね。
そして、私たちの兄弟組織にあたる、岡山県の「北長瀬エリアマネジメント」という団体がコミュニティフリッジをコロナ禍にスタートしていたので、私たちが続けていたフードバンクをコミュニティフリッジにステップアップできないか、と考えました。
− ReRe
現在は、どのような方を対象に支援されていらっしゃいますか?
− 平井さん
子育て家庭がメインで、その中でも、児童扶養手当を受給されている家庭、外国人技能実習生を主な対象としています。
− ReRe
規模としては、どのくらいの数の方を支援されていらっしゃいますか?
− 平井さん
今、登録者は300名ほどです。
「アプリを利用して鍵を開ける」→「中に入って持って帰りたいものを取る」→「セルフレジと同じようにバーコードをピピピっと読み取る」→「アプリで鍵を開けて帰る」という、24時間対応型のフードバンク施設になります。


− ReRe
すごい、画期的ですね。
誰かがレジを担当することもなく、アプリで全て一貫管理ができるんですね。
− 平井さん
そうですね、鍵を開け締めするアプリと、その人その人のIDコードをQRコードにしてお送りしていて、QRコードをピッと読み取ってもらい、あとはセルフレジと同じように処理して登録してもらう感じですね。
− ReRe
お申し込みすると、すぐに利用できるのでしょうか?
− 平井さん
実は恵庭市の方にもご協力いただいていて、対象者の方へ受給決定書と一緒に「コミュニティフリッジに登録しませんか?」っていうチラシを同封いただいてます。
なので、私たちがSNSなどで「どうぞ登録してください」とお伝えしているわけではなく、対象者の方にダイレクトにチラシが届くシステムです。
− ReRe
行政の方から、必要な方にダイレクトに情報が届いているんですね。
支援を受けられた方のお声をお聞かせいただけますか?
− 平井さん
メッセージボードを置いていて、「付箋(ふせん)にメッセージを書いて貼ってくださいね」っていうふうにしているんですけど、「本当に助かります」とか「お菓子、子供が喜びます」とか。
「子どもがお米をすごく食べるようになったので、嬉しいです」とか、「寄付してくださる企業の方に感謝です」みたいなものもあります。
「離婚して恵庭市に帰ってきて、コミュニティフリッジがあって本当に良かった」っていうメッセージを残されている方もいらっしゃいますね。
− ReRe
ひとり親の方にとっては、このような支援体制が近くにあると、とても心強いですね。
子ども食堂や無料塾など、子どもの生活・学習も支援
− ReRe
フードバンク以外には、どういった活動をされていますか?
− 平井さん
恵庭市からの委託事業になりますけれども、子どもの生活・学習支援として、子ども食堂と無料塾などを合体したような事業を行っています。
毎週土曜日の昼12時ぐらいに子どもたちが来て、地域の方々・学生のボランティアが作ってくれたお昼ごはんを食べて、勉強して遊んで帰る、みたいなことを行っています。
学習指導もボランティアの学生が入ってくれたり、「お下がり交換会」といって、成長して着れなくなった服を集めて、参加費だけ払って袋に詰め放題で持って帰れるイベントも実施しています。




あと、お母さんたちの居場所の事業もあります。
愚痴を言い合ったり、不登校支援のグループもあるので、「行き渋りなのかな」「ちょっと行かないブームかな」みたいな、悩み・不安を話せる場も提供しています。
− ReRe
同じような境遇の方とお話できると、心も軽くなりますよね。
− 平井さん
そうですね、やっぱり「うん、わかる」って言ってもらうだけで、心が軽くなりますからね。
子どもが大きい声を出しても怒られない、伸び伸び子育てできるまち
− ReRe
恵庭市は、子育て世帯が多いのでしょうか?
− 平井さん
七万人のまちで、人口が少しづつ増えてるっていう、北海道内では珍しいまちですね。
− ReRe
子育てしやすい環境が整っていたりするのでしょうか?
− 平井さん
自衛隊の基地が3つあるので、若い子育て家庭が安定して必ずまちに住んでいる地域ですね。
子どもの数は減ってきているんですけど、絶対ゼロにはならないし、一定数はずっといるっていう感じです。
あと、札幌までJRで30分で行けて、通勤・通学圏内のベッドタウンですね。
− ReRe
とても良い環境ですね。
子育て支援なども、手厚いのでしょうか?
− 平井さん
外から来られた方に、「図書館や子育て支援センターなどが、子育て家庭の数に対して多く作られていて、子育て支援センターがお母さんと子どもたちでパンパンになることもないし、あっちにもこっちにもあるから便利」っていうのはよく言われますね。
いろんなところに子育て支援の施設があって、市民活動もとても盛んなまちなので、個人で育児教室を開いている人もいたり、子連れOKのヨガクラスが開かれていたりだとか。
それらを市が運営しているのではなく、個人で行っている人たちが結構いるという感じで。
そして、それをまちの人も行政も応援してくれている、っていうような地域ですね。




− ReRe
子育てをされている方にオススメしたくなります。
恵庭市に住まれてみて、他の地域と比べても住みやすいですか?
− 平井さん
子どもたちが自由ですね。
都会だと、子どもたちが走ると「ちょっと待って」って止めなきゃいけません。
恵庭市だと、公園で多少走っても誰にもぶつからないし、見えてるし、「見えてれば大丈夫」っていう感じもあるので、比較的ほったらかしじゃないけれど、伸び伸び子育てできますね。
子どもたちが大きい声を出しても「静かにして」って言うことも少ないし、それを「うるさい」って言ってくる人もいないし。
近所の人も声をかけてくれて、うちの子どもたちを孫みたいに可愛がってくれます。
周りとのつながりがあって、名前は知らないけど、子どもたちの登校中に必ず立ってくれているおじいちゃんがいたりとか、自分たちが子どものときに過ごしたときと変わらない風景がまだ残ってる地域ですね。
高齢化率は上がっているんですけど、ひとり親家庭の比率も上がっていて、シングルになって恵庭市に戻って来る人も多いと聞きます。
− ReRe
戻ってきても、周りと一緒に子育てできるので、本当に良い場所ですね。
人に頼る力=子育てで大事な力
− ReRe
活動していらっしゃる中で、ひとり親の方に向けて、お伝えしたいことはありますか?
− 平井さん
コミュニティフリッジもそうなんですけど、ひとり親かどうかをあまり線引きしないで、基本的には活動をしています。
ほかの子育て支援の活動でもそうなんですが、ひとり親の方は増えているし、珍しくはないと思っていて。
頼るところがあれば頼ってほしいし、「助けて」とか「ちょっと困ってる」とか、人に頼る力は、やっぱり子育てしていく上で大事な力だと思っています。
一人で子育てしていくと、病みやすくなりますから。
私にも子どもがいますが、孤独な子育ては心身ともに壊す結末しかないなって思っています。
「いろんな人に頼って地域で子育てする」っていうのは大事だと思っているので、コミュニティフリッジもその一つとして捉えていただいたらいいかなと思います。
− ReRe
平井さんご自身の経験も活きた支援活動になっているんですね。
本日は貴重なお話をいただきまして、ありがとうございました。
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